石馬寺 ・ 水牛に乗った大威徳明王 / 湖東編(4)

近江古寺巡礼の旅、最後に参拝したのは東近江市の石馬寺です。



ずっと降り続いていた小雨のためか、山々には靄がかかっており、陽の光を受けてほのかに輝いていました。
長閑な田園地帯を通り抜け、お寺へと向かいます。



やがて本堂へと続く石段が見えてきました。

石馬寺(東近江市)


石馬寺。
聖徳太子がこの山の麓に馬をつなぎ、山上に霊地を探して下山したところ、馬が麓の池に沈んで石と化していたという伝説から、こう名付けられたと言われています。
信長の兵火により一時は荒廃しましたが、江戸時代に臨済宗のお寺として再興されました。

数多くの寺宝が伝えられていることでも有名で、貴重な仏像の多くは、写真右手の収蔵庫に安置されています。
丈六(⇒丈六仏の説明はコチラ)の阿弥陀如来を中心に、十一面観音立像、二天立像、役行者及び二鬼像などが並び、収蔵庫内には濃密な空間が広がっていました。(⇒お寺HPはコチラ)
仏像群はいずれも藤原期から鎌倉期にかけての像で、そのほとんどが重要文化財の指定を受けています。

中でも私が一番惹きつけられたのは、藤原期の大威徳明王。(⇒滋賀県HPはコチラ)
特に明王が乗っている水牛の迫力は凄まじく、右前足を立て、斜め横をジロリと睨みつけており、目が合った瞬間、その獰猛な目付きに思わずドキリとしました。

*石馬寺
   (住所)滋賀県東近江市五個荘石馬寺町823
   (HP)http://www.eonet.ne.jp/~ishibaji/




全てのお寺の参拝を終え、車中から琵琶湖を眺めながら北上しました。
せっかくなので彦根城を訪れてみることにしたのです。

彦根城(彦根市)


彦根城は譜代大名の井伊氏の拠点となった城で、天守閣は国宝に指定されています。



高台に建つお城からは周辺の景色が一望できました。
彦根の街の向こうに琵琶湖が見えています。

古より水路の要衝として繁栄してきた近江。
琵琶湖の周りには人が集まり、最先端の文化が花開き、仏教の隆盛とともに多くの寺院が建立されました。
そしてそこでは仏像が造られ、信仰され、何百年もの間、人々によって守られ続けてきたのです。

豊かな自然のあちこちに、神や仏の存在を見出していた古の人々。
木々の間に清らかな小川を見つける時、路傍で小さな石仏にお会いする時、私たちは近江の人々の息づかいを間近に感じることができます。
そしてそうした瞬間を味わうことこそが、旅をする最大の喜びなのではないでしょうか。

*滋賀県観光情報ホームページ*
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百済寺 ・ 石垣の寺 / 湖東編(3)

湖東三山の最も南に位置する百済寺(ひゃくさいじ)。
創建は三山のうちで最も古く、推古14年(606年)、聖徳太子の発願により建立されたと伝えられています。
天台の寺院として大いに栄えましたが、織田信長による焼き討ちの被害を著しく被り、全山焼き払われるという悲劇に遭いました。

百済寺(東近江市)
【仁王門】


真っ直ぐに伸びる杉林の間を歩き、本堂へと続く石段を上って行きます。
境内には静謐な空気が漂っているようでした。
参道の脇には石垣が続いており、かつてはあたり一帯に堂宇が建ち並んでいたことがよくわかります。



さらに石段を上って行くと、本堂が見えてきました。

【本堂】
 
(1650年築。重文)

かつて湖東地方には百済国(朝鮮半島に存在した国)からの渡来人が多く住んでおり、百済の龍雲寺にならってこの寺を建てたことから、百済寺という名がつけられたと伝えられています。
当時最先端の文化がここで花開いていたのでしょうね。
百済寺は度々火災の被害を受けましたが、往時の繁栄ぶりを窺わせる石垣が随所に残り、境内は国の史跡に指定されています。



参道を戻り、喜見院の庭園へ。



庭園の石段を上って高台に立つと、湖東平野を一望することができました。

*百済寺
   (住所)滋賀県東近江市百済寺町323
   (HP)http://www.hyakusaiji.or.jp/


*滋賀県観光情報ホームページ*

金剛輪寺 ・ お地蔵様の坂道 / 湖東編(2)

西明寺を参拝した後、湖東三山のちょうど真ん中に位置する、金剛輪寺を訪ねました。

金剛輪寺(愛荘町)


天平13年(741年)聖武天皇の勅願により行基が創建し、平安前期に円仁が天台の道場として再興したと伝えられる古刹です。
往時は繁栄を極め大伽藍が広がっていましたが、他の湖東三山のお寺と同じく、信長の兵火によって堂宇の多くを焼失しました。



本堂へと続く長い長い坂道。
道の両脇には千体地蔵と呼ばれるお地蔵様が隙間なく並んでいます。
一体一体に風車がお供えしてあり、まるで鮮やかな花が並んで咲いているかのようでした。



お地蔵様のよだれかけは信徒の方の寄進で、年に3回かけられているのだそう。
お地蔵様もきっと喜んでいらっしゃるでしょうね。



お地蔵様の坂道は、まだまだ奥深くへ…。



目の前に果てしなく続く幻想的な光景。
異世界へと入り込んで行くかのようです。

【二天門】
 (室町時代末期。重文)

ふと前を見上げると、二天門が建っていました。

【本堂】
 (1288年築。国宝)

金剛輪寺は信長によって多くの堂宇を焼失しましたが、本堂はその兵火をくぐり抜けた数少ない建物で、国宝に指定されています。
本尊は秘仏の聖観音。
厨子を挟んで四天王や二体の阿弥陀如来などが並び、本堂内部には荘厳な世界が広がっていました。

かつて大伽藍が建ち並んでいた金剛輪寺には貴重な寺宝が残されており、本堂の裏にも仏像が何体か安置されています。
中でも私が特に惹きつけられたのは、平安期の十一面観音立像です。
(⇒愛荘町のHPに写真が載っています)
像高171.5cmで檜の一木造。
体躯はふっくらとしていて、素地仕上げの木肌は、絹のように滑らかな美しさを感じさせます。
その愛くるしいお姿に魅了され、しばし時間を忘れて坐り込み、観音様を拝していました。

参拝を終え、今度は長い長い下り坂。
思いがけないところで素晴らしい美仏にお会いした喜びに浸りながら、坂道を歩いて行きました。

*金剛輪寺
   (住所)滋賀県愛知郡愛荘町松尾寺874
   (HP)http://kongourinji.jp/


*滋賀県観光情報ホームページ*

西明寺 ・ 清凉寺式の釈迦如来 / 湖東編(1)

琵琶湖の東側、鈴鹿山脈の山裾に沿って、湖東三山と呼ばれる古刹があります。
これは西明寺、金剛輪寺、百済寺の三寺を指し、いずれも天台の寺として隆盛を極めていましたが、織田信長の焼き討ちに遭うなど幾度も荒廃、その後復興を遂げてきました。

湖東の旅、まずは湖東三山の最も北側に位置する西明寺からスタートです。

西明寺(甲良町)


836年に仁明天皇の勅願により、三修上人が創建したと伝わる古刹です。
鎌倉時代に最盛期を迎えましたが、信長の兵火により、本堂・三重塔を残して伽藍の多くは焼失、江戸時代に復興されました。



こちらは蓬莱庭と呼ばれる池泉鑑賞式の庭園。
名勝に指定されています。



広大な境内の奥へと続く石段を一歩一歩上って行きます。
しっとりと雨に濡れる苔の緑が美しく、何度も立ち止まっては見惚れていました。



「この苔は西明寺が好きです。大事にしましょう」
何だか温かい気持ちになりますね。



清らかな小川を眺めながら、さらに石段を上ります。

【二天門】
 (室町時代。重文)

やがて二天門が見えてきました。

【本堂】

(鎌倉時代。国宝)

国宝の本堂です。
本尊は秘仏の薬師如来。厨子の周りを十二神将が取り囲んでいます。
本堂の後陣には、重要文化財の不動明王及び二童子釈迦如来など、貴重な仏像が数多く安置されていました。

釈迦如来は一般的に清凉寺式釈迦如来像と呼ばれる像で、これは京都市右京区嵯峨の清凉寺の本尊である釈迦如来を模刻したものです。
この清凉寺式釈迦如来像は、縄目状の頭髪や同心円状の衣文の形式などが特徴で、日本各地で模刻が造られました。
全国で100体近くあるとも言われており、この仏様に対する人気の高さがよくわかります。
西明寺のお釈迦様は中でも特に端正な彫りで、木目が美しい美仏でした。



西明寺を出発した後、道すがらコスモスを見つけました。
いかにも秋らしい、心ときめく光景です

*西明寺
   (住所)滋賀県犬上郡甲良町大字池寺26
   (HP)http://www.saimyouji.com/


*滋賀県観光情報ホームページ*

MIHO MUSEUM ・ 神仏います近江〜天台仏教への道〜 / 湖南編(6)

2日目最後の目的地は、甲賀市のMIHO MUSEUMです。
このMIHO MUSEUMは三館連携の特別展「神仏います近江」の信楽会場で、他の大津会場瀬田会場と巡ったあと、私はこちらの会場を最後に訪れました。(⇒三館連携の特別展HPはコチラ)

MIHO MUSEUM(甲賀市)


この信楽会場では「神仏います展近江 天台仏教への道〜永遠の釈迦を求めて〜」というテーマのもと、近江伝来の仏像・仏画・神像などが中心に展示され、最澄、円仁、円珍らによる天台仏教確立の道のりを辿ることができます。



中でも私が一番惹きつけられたのは、善勝寺の千手観音立像です(⇒公式HPにお顔の写真が載っています)
千手観音としては珍しい三面の像で、平安時代の作。
何百もの脇手がびっちりと隙間なく付いているという異形の姿でありながら、お顔は限りなく優しげで、繊細な美しさをたたえている観音様です。
そのお姿を拝していると心がスッと吸いこまれてゆくようで、しばしその場に立ち尽くしていました。

会場では他にも貴重な仏像や仏画が展示されており、善水寺の僧形文殊菩薩像など、個性的な仏様が多くいらっしゃったのが印象的でした。
様々な仏像を拝し、この地の仏教文化の奥深さを体感できたように思います。
※会期中に展示替がありますのでご注意ください(⇒MIHO MUSEUMのHPはコチラ)

*MIHO MUSEUM
   (住所)滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
   (HP)http://www.miho.or.jp/japanese/index.htm



さてこの日の旅程を全て終え、ゴールの草津へ。
ここでレンタカーを返し、ひと休みしました。

クラブハリエFruit Box(近鉄百貨店草津店内)


「クラブハリエ」は、滋賀県に本店をもつ和菓子店「たねや」が展開しているバームクーヘン店。



近鉄百貨店草津店1階にあるクラブハリエFruit Boxでは、バームクーヘンを店舗で買うことが出来るほか、隣接するカフェでオリジナルのケーキをいただくことができます。
クラブハリエのバームクーヘンが大好きな私が、是非とも行ってみたかったお店です。



ここで美味しいケーキとコーヒーをいただきながら、この日の旅の思い出を振り返りました。
もちろんお土産はバームクーヘン
しっとりとして上品なお味でした

*クラブハリエFruit Box(近鉄百貨店草津店内)
   (住所) 滋賀県草津市渋川1-1-50 近鉄百貨店 1F
   (HP)http://clubharie.jp/index.html


なおブログでご紹介したなかで、2011年10月〜11月にかけて紅葉ライトアップが行われるお寺がありますので、併せてご紹介いたします。⇒滋賀県内の紅葉ライトアップ情報

滋賀旅行の3日目は、個人的に湖東地方のお寺を巡りました。
次回からは、その旅行記を書きたいと思います。
よろしければお付き合いくださいね♪

*滋賀県観光情報ホームページ*