東林院(徳島)・藤原期の弥勒菩薩

井戸寺参拝のあと、鳴門市の東林院へと向かいました。



東林院は奈良時代に行基によって建立されたと伝えられる古刹です。
かつては末寺16ヶ寺を持つ大寺であったといいますが、江戸時代に大火に遭い、伽藍の大半が失われてしまいました。



「ゲロゲロゲロ…」
おやっ?
可愛らしいカエルの親子です(笑)。



事前にお願いをして、こちらのお寺に安置されている、藤原期の弥勒菩薩様を拝観させていただきました。



像高96cmで桧の寄木造。
鼻筋の通ったお顔立ち、胸元に飾られる瓔珞がとても瀟洒な、美しい菩薩様です。



1998年に行われた修復の際、台座に過去の修理記録が見つかり、1724年までは和歌山県の高野山北室院にあったことが判明しました。
どのような経緯でこちらに招来されたのか、詳しいことはわかっていないようです。



そして鳴門と聞いて真っ先に思い浮かべるのが鳴門海峡。
あいにくの悪天候でしたが、車を停め、雄大な景色をしばし眺めていました。

東林院の菩薩様も、かつてはこの海を渡って高野山からいらしたのでしょうね。

2012.9.14
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井戸寺(徳島)・一木の貞観仏



東照寺参拝の後は、同じ徳島市内にある井戸寺を参拝しました。

四国八十八箇所霊場の第十七番札所として有名な井戸寺の創建は古く、寺伝によると、673年に天武天皇の勅願寺であった「妙照寺」が前身であるとされています。
後の815年に弘法大師がこのお寺を参拝した際、檜の十一面観音像を彫ってお堂に安置しました。
大師はまた、この土地の人々が水不足で困っていることを憐れまれ、自らの錫杖で地面を掘ったところ、一夜にして水が湧き出たことから、この地は「井戸村」と名付けられ、お寺の名も現在の「井戸寺」に改められたと伝えられています。



御本尊は薬師如来様ですが、こちらのお寺で特に有名なのが、平安初期の十一面観音観音立像です。
事前にお願いをして収蔵庫の拝観をさせていただきました。



像高197cm、榧の一木造です。
想像を遥かに上回る美しさ、存在感に思わず息を飲みました。
量感ある体躯、飜波式の衣文などから、一見して古い時代の作であることがよくわかります。



唇はへの字にキュッと結ばれ、眼差しは厳しいものの、長く肩まで垂れる髪が繊細で美しく、どこか官能的な雰囲気を放っていました。
京都や奈良以外で、これほどまでに古い時代の仏像を拝することは滅多にありません。
おそらく中央で彫られ、このお寺へと招来されたのでしょう。
まさに四国八十八箇所霊場の札所に相応しい、見事な観音様です。



境内周辺には長閑な田園風景が広がっていました。

2012.9.13

東照寺(徳島)・鎌倉期の地蔵菩薩



徳島県を横断するように流れる一級河川・吉野川。
この吉野川が海へと注ぎ込む河口近く、徳島市の福島というところに東照寺があります。



東照寺は寛永2年(1625年)に創建された古刹ですが、こちらのお寺にはそれより古い、鎌倉後期の作と推定される地蔵菩薩像が安置されています。



像高84.2cmで桧の寄木造。
堂々とした体躯には厚めの布がたっぷりとかけられており、宋風美術の影響が強く感じられます。
桃のような装飾(蓮?)が付けられた光背も見事です。



玉眼の瞳、写実的な作風などから、慶派仏師の作と考えられているようですが、このお寺に伝えられた経緯も含め、詳しいところはわかっていないようです。
想像以上の美仏にお会いできた感動の余韻に浸りながら、お寺をあとにしました。

2012.9.13

丈六寺(徳島)・丈六の聖観音



四国旅行、二日目は徳島市の丈六寺からスタートです。

丈六寺は創建が飛鳥時代にまで遡ると伝えられる古刹で、室町時代に戦国大名・細川氏により曹洞宗へと改宗、その後も歴代武将の庇護を受けて繁栄を極めてきました。



こちらは重要文化財の三門。
室町末期に建立され、徳島県で最も古い建築文化財なのだそうです。

 本堂(江戸時代)

 経蔵(室町時代)

本堂、経蔵ともに国の重要文化財に指定されています。
このように丈六寺には優れた文化財がとても多いことから、阿波の法隆寺とも呼ばれているそうです。



そしてこちらが観音堂。
堂内には丈六の聖観音様が祀られており、丈六寺というお寺の名前は、この観音様に由来しています。
(⇒写真はコチラ)

桧の寄木造で、像高はなんと310.6cm。
丈六サイズの藤原仏、しかも坐像という、とても珍しい聖観音像です。
薄暗いお堂いっぱいに大きなお体が広がっている様は厳かで、実に堂々としていますが、お顔立ちはいかにも藤原仏らしい、優美で洗練された気品に溢れていました。

2012.9.14