「忍性菩薩 ―関東興天律七五〇年―」展に行ってきました。

0170f1f5161bc9fe5baca4d6b9f6f1bbfeb665cd56.jpg

横浜市の金沢文庫で開催されている「忍性菩薩 ―関東興律七五〇年―」展に行ってきました。

01021801164ee188b419dbecedca7ff3c0eed1148e.jpg

忍性は鎌倉時代に活躍した律宗の名僧で、社会的弱者の救済に尽力したことで知られており、幕府によって鎌倉へ招かれた後は、称名寺や極楽寺などを創建して鎌倉仏教の礎を築きました。

01468e02d01e28d43076e97a37ef29cdd15cff904d.jpg

この特別展で一番の目玉は、なんといっても極楽寺の釈迦如来立像でしょう。
以前からずっと興味を持っていたのですが、通常は秘仏で、4月7日から9日だけの公開であるため、なかなか拝観の機会に恵まれませんでした。
釈迦如来立像の像高は158.5cmで、鎌倉期の作。
いわゆる清凉寺式の釈迦如来像ですが、きりりとしたお顔立ちや体躯の表現に、鎌倉仏らしい特色が感じられます。
少し離れたところには、同じく清凉寺式の釈迦如来像である、称名寺の釈迦如来立像が展示されていました。
どちらも素晴らしいのですが、個人的には、力強さのある極楽寺の尊像の方がより印象的でした。
また極楽寺の釈迦如来立像のそばには、珍しい転法輪印を結んだ釈迦如来坐像が展示されていました。

01227cb1a706295285181b30973f77e85833e08cf4.jpg

特別展を見たあとは、金沢文庫に隣接する称名寺へ。
境内を彩る紅葉の美しさに目を奪われました。

2016.11.13
スポンサーサイト

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル : 学問・文化・芸術

「平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」展と「禅―心をかたちに―」展に行ってきました。

東京国立博物館で開催中の「平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」展と「禅―心をかたちに―」展に行ってきました。

01370bdd19e59a5ed0a96af371193df0d50d1418d0.jpg

まずは本館で開催されている「平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」展から。
櫟野寺は滋賀県甲賀市にある天台宗の古刹で、湖南地方屈指の仏像群が伝えられていることで知られています。
(⇒櫟野寺の記事はこちら)

uid000067_2016072714400657aed151.jpg (⇒特別展HPはこちら)

今回の特別展の目玉は、なんといっても秘仏である本尊・十一面観音坐像でしょう。
5年ほど前にお寺を参拝したときは拝観できなかったため、今回の特別展をとても楽しみにしていました。
身の丈は驚愕の312cm!!
数字としては大きさを把握していたものの、実際に御姿を拝したときは、その圧倒的な迫力に息をのみました。
造像時期は10世紀頃と推定されています。
寄木造が確立される前の時代であるため、頭と体は一本の巨木から彫りだされているそうです。
近くでみると、体を覆う衣の部分には色彩が残り、かつては極彩色で輝いていたことがわかります。
それにしてもこれだけの大きさの仏像をどうやって滋賀県から運んだのかしら…?

uid000067_2016072714410783ddb053.jpg uid000067_20160727144123ed01fb95.jpg (⇒特別展HPはこちら)

特別展ではこの他にも、重要文化財に指定されている20体もの平安彫刻が並んでいます。
これらの仏像の多くは、かつて七坊あったという櫟野寺の末寺で祀られていましたが、それらが廃寺となった際、櫟野寺に安置されるようになったそうです。

01a398b13f31182e829e7b35491a34e9be354efe44.jpg

そして次は、平成館で開催されている「禅―心をかたちに―」展へ。
もともと禅文化には疎く、今回も櫟野寺展のついでにくらいの感じで行ったのですが、これが想像以上に素晴らしい内容でした。

uid000067_201608291424481ef4dcbc.jpg (⇒特別展HPはこちら)
蘭渓道隆坐像(神奈川・建長寺)

やはり禅の特別展だけあって、各お寺の頂相(禅僧の肖像画、または肖像彫刻)が多く展示されていました。
正直、これまで頂相にはさほど興味がなかったのですが、ずらりと並ぶ高僧たちを拝していると、表情や体つきに、威厳やそれぞれの個性が感じられます。
まるで名だたるスターたちにお会いしているような気分になり、かなりテンションが上がりました(笑)

uid000067_20160829161938a853fae1.jpg (⇒特別展HPはこちら)
宝冠釈迦如来坐像(静岡・方広寺)

もちろん頂相以外の仏像も展示されています。
印象的だったのが、こちら静岡・方広寺の宝冠釈迦如来坐像。
宋風様式の顕著な尊像で、1352年に院吉・院広・院遵ら院派仏師によって造られました。
 
uid000067_20160829142503aacce731.jpg (⇒特別展HPはこちら)
羅怙羅尊者坐像(京都・萬福寺)

そして仏像ファンにはお馴染み(?)、京都・萬福寺の羅怙羅尊者坐像もお出ましに。
(⇒萬福寺の記事はこちら)
お腹から顔が??
過去に何度からお寺で拝したことがありますが、やはり強烈なインパクトです。
お釈迦様の実子である羅怙羅尊者は顔が醜かったものの、自分の心には仏が宿っていることを胸を開いてみせた、そういう伝承があることから、この像が造られたようです。
とても面白いですよね。

01fab908c508b8d8167541fa985c9f5f3e75105fc4_00001.jpg

そして平成館の休憩所には羅怙羅尊者坐像の顔はめパネルがあり、なんと尊者の胸に入ることができます(笑)
憧れの仏像と記念撮影?
忘れられない記念になりますので、よろしければ是非♪

2016.10.23

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル : 学問・文化・芸術

「松島 瑞巌寺と伊達政宗」展に行ってきました。

011da719401de8d9c742a74938e34c61ed130f272a.jpg

三井記念美術館で開催中の「松島 瑞巌寺と伊達政宗」展に行ってきました。
お目当ては何といっても秘仏の五大明王(写真)。
瑞巌寺は学生の頃(はるか昔)に一度参拝したことがあるのですが、その頃はこのお寺に五大明王像が伝えられていることを全く知りませんでした。
やがて全国の地方仏を巡るようになり、この尊像のことを知るに至りましたが、御開帳は33年に一度であるため、参拝を半ば諦めていました。
というわけで今回の特別展を知って大興奮!
期待に胸を膨らませ、公開初日に拝観してきました。

瑞巌寺は景勝地として有名な宮城県の松島に位置する古刹で、現在の堂宇は江戸初期に伊達政宗によって創建されました。
その前身となった延福寺は、平安時代の僧・慈覚大師が開祖と伝えられ、五大明王が安置されている五大堂も同じ頃に建てられたとされています。
伊達政宗は関ヶ原の戦いの際に五大堂で戦勝を祈願したため、戦勝の御礼として慶長9年(1604)に五大堂を再建し、続けて現在の本堂を建立、寺名を瑞巌寺と改めました。

五大明王像は一番広い部屋の奥に展示されており、五体ずらりと横に並べられていました。
像高は65cm~90cmほど。
頭がとても大きく、幼児のような体つきをしていることがわかります。
10世紀末から11世紀初め頃の作と推定されており、五体揃った明王像としては、全国的にもかなり古い造像であるようです。
いずれもケヤキの一木造。
近くで見ると、やや彫りが荒く、それがかえって漲る気迫を感じさせます。

特別展ではその他に伊達政宗の甲冑や書なども展示されていました。
特に書跡の美しさにはビックリ!
政宗は能書家として有名だったらしく、書に全く詳しくない私ですら、かなりの腕前であることがわかるほどです。

特別展はまだ始まったばかりで、平成28年11月13日まで開催されています。
よろしければ是非ご覧になってくださいね。

2016.9.10

「観音の里の祈りとくらし展Ⅱ~びわ湖・長浜のホトケたち~」に行ってきました。

01cf6179488e809aff23254afe514170d69e84b4fc.jpg

東京藝術大学美術館で開催中の「観音の里の祈りとくらし展Ⅱ~びわ湖・長浜のホトケたち~」展に行ってきました。

01a0d9e6cbe1b3b3a00a35519b01bf3fe5dedf7318.jpg

この企画展は約2年前に開催された「観音の里の祈りとくらし展」の第2弾として企画されたもので(⇒前回記事はこちら)、滋賀県長浜市の仏像が49体も展示されているという、実に濃厚な内容となっています。

nishinoyakushido.jpg 
(⇒滋賀・びわ湖観光情報HPより)

今回の特別展で私が最も心を惹かれたのがこちらの仏様。
充満寺の伝・薬師如来立像です。
159.4cmで平安後期の作。ケヤキの一木造。
薬師如来と伝えられていますが、阿弥陀如来の印である来迎印を結んでいるという、不思議な如来像です。
手首から先の木の材質が他と異なっているため、造像当時は違う印だったのかもしれません。
金箔が剥がれて露わになった赤い漆の色が、やや四角く張った男性的なお顔によく合っていました。

iouji.jpg 
(⇒滋賀・びわ湖観光情報HPより)

こちらは医王寺の十一面観音立像。
像高145.4cmで平安後期の作。クスノキの一木造。
びわ湖の湖北地方には十一面観音像が多く伝えられていますが、その中でも特に美しい尊像の一つです。
華奢なお体を、流れるような線を描く衣が覆っています。
ケープ状に肩から垂れる装飾的な薄衣の表現は、他では見た記憶がなく、とても個性的でした。

kannnonji.jpg 
(⇒長浜・米原・奥びわ湖観光情報サイトより)

そして黒田観音堂の千手観音立像は、以前から憧れていた尊像だっため、実際に御姿を拝した時は感激しました。
像高200cmで平安初期の作。ヒノキの一木造。
まず圧倒されたのは、その肉感的な18本の腕です。
千手観音は通常42本の腕で表現されることが多いため、もともとは准胝観音として造られた可能性が高いと推定されているそうです。
衣文は太く、力強く刻まれており、古様な印象を受けます。
堂々とした体躯に対し、お顔立ちは繊細で、切れ長の眼が涼やかに感じられました。

senjyusenzoku.jpg (⇒長浜・米原観光情報HPより)

今回の特別展で一番ユニークな像といえば、やはり正妙寺の千手千足観音立像でしょう。
なんと千本の手と千本の足を持つという観音様です。
像高42.1cmで江戸時代の作。
過去に何度も写真では見たことがあったのですが、想像していたよりは小さな像で、異形の姿でありながら、なんだか可愛らしくもあります。

今回の特別展で展示されている仏像のなかには、かつて実際に湖北で拝観した仏像もあり、尊像の前に立っていると、お寺やその土地の風景、仏像を守る地元の方たちとお話させていただいた思い出などが、ありありと胸に蘇ってきました。
もしこの特別展で湖北の仏像に興味を持たれたら、ぜひ現地まで足を運んでみてください。
緑豊かな、美しい湖北の土地で会う御仏たちは、より一層素晴らしく、印象的に感じられるはずです。

2016.7.16

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル : 学問・文化・芸術

「ほほえみの御仏―二つの半跏思惟像―」に行ってきました。

01c3df9500d126b470b32267ccf02021288876220c.jpg

東京国立博物館で開催中の「ほほえみの御仏―二つの半跏思惟像―」に行ってきました。
この特別展は日韓国交正常化50周年記念特別展として企画されたもので、まずは韓国、そして今回は日本の博物館で開催され、日韓を代表する国宝の半跏思惟像が二体展示されました。

uid000067_20160520182709304c9dea.jpg (⇒東京国立博物館HPより)

韓国からはるばる海を渡ってこられた仏様はこちら。
国宝78号像と呼ばれるこの尊像は、6世紀後半の作と推定されており、韓国で最も古い仏像のひとつなのだそうです。
銅造で像高83cm。
切れ長の目、鼻筋の通ったお顔に、繊細な指が添えられており、非常に可憐な印象を受けます。
細部にわたるまで装飾が施され、銅で造られているとは思えないほどの美しさです。

uid000067_201605201827020857b47f.jpg (⇒東京国立博物館HPより)

そして日本を代表して展示されているのが、奈良・中宮寺の半跏思惟像です。
7世紀の作で像高は126.1cm。
クスノキの一木から造られています。
この尊像は私が最も好きな仏像のひとつで、過去に何度か中宮寺へ参拝したことがありますが、通常は背面を拝することができないため、今回360度全ての方向からの御姿を確認できたのは、またとない喜びでした。

両菩薩は数メートルの距離を隔てて向かい合うように安置されており、その間に立っていると、深い感慨を覚えずにはいられませんでした。
遠くインドで生まれた仏教が、長い時を経て様々な国や土地の文化を吸収し、多彩な変化を遂げ、やがて海を越えて日本に伝えられた、その気の遠くなるような道のりを思うと胸が熱くなったのです。

特別展は2016年7月10日(日)まで開催されていますので、よろしければぜひ東京国立博物館まで足を運んでみてくださいね。

2016.7.2

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル : 学問・文化・芸術