海雲寺(東京)・竈の神様

品川区にある海雲寺の本尊は、千体荒神(三宝荒神)。
竈の神様です。



台所にも神様がいらっしゃるなんて、何だか不思議な感じがします。
火を使う竈は古くから神聖なものだとされていたようです。

拝観のお願いをすると、お寺の方から
「護摩法要をやるのでよかったらどうぞ」
と声をかけていただきました。

本堂に入れていただき、護摩が始まるのを待ちました。
内陣の奥には扉が閉ざされた厨子が安置されており、その中にご本尊の千体荒神様がいらっしゃるようでした。



手前には眷属の餓渇神王と障礙神王が安置されています。
ガラス越しではありますが、かなりの迫力!



やがて護摩が始まり、読経の声とともに護摩木へ火が灯され、次第に大きな炎になってゆきました。
火と深いつながりをもつ千体荒神にふさわしい、厳かな光景です。

護摩が終わった後、本尊のお前立ち像を拝観させていただくことに。



千体荒神像を間近に拝するのは今回が初めてだったため、その不思議な像容に目を奪われました。

2010.8.28
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中禅寺(栃木)・湖のほとりの立木観音

日光から路線バスを使って中禅寺へ。
道が渋滞していたため、一時間ほどかかって中禅寺湖へ着き、そこからさらにバスを乗り換えて中禅寺へ向かいました。



湖の向こうに堂々とそびえるのは男体山。
山頂を雲が覆っていますが、それでも雄大な美しさが十分伝わります。



やがて中禅寺の山門が見えてきました。
中禅寺の創建は平安時代まで遡り、元々は二荒山神社の神宮寺として繁栄を極めていたそうです。
坂東三十三観音霊場の第18番札所でもあり、本尊の千手観音は、立木観音と呼ばれて名を馳せています。



立木観音。
その言葉を知って以来、ずっとその不思議な響きに魅せられてきました。
立木観音とは、根を張った立木に彫って造られた観音像、もしくはそのような伝承をもつ観音像のことです。
立木に彫ることで、木の霊性がよりいっそう像に宿ると信じられていたのでしょう。

高まる期待に胸を膨らませて堂内に足を踏み入れると…。

大きな大きな千手観音様がそこにはいらっしゃいました。
(坂東三十三観音HPに写真が載っています)
像高535cmで藤原時代の作。
お顔はおっとりとして、体躯には抑揚がなく、まさに一本の巨木がここで根を下ろしているかのようです。
自然そのもののような大らかさを持つ観音様。
しばらくの間ぼうっと佇みながら、この素晴らしい尊像と同じ空間にいられる喜びをじっくり味わっていました。



数百年前は今よりもっと山深く、住む人もまばらであったろうこの土地に、霊験あらたかな観音像が祀られ、篤い信仰を集めてきた…。
そのことがひしひしと感じられ、なんとも言えない思いに包まれました。
男体山の雄大な美しさにも重ね合わせられるような立木観音。
この観音様を拝すると、木や自然というものに、昔の人々がいかに深い崇敬の念を抱いていたかが実感できます。



境内にあった可愛らしい灯籠。
鬼が灯りを一生懸命支えています。
見ていると微笑ましくなりました。

2010.8.22

日光東照宮(栃木)・日光のシンボル

そしてかの有名な日光東照宮へ向かいました。



今までに幾度となくテレビや雑誌で見てきた光景。
陽明門です。
やはり写真で見るのと実際に見るのとでは迫力が全く違います。



こちらは重要文化財の神厩舎、いわゆる馬小屋です。
ちゃんと本物のお馬さんも中にいらっしゃいました。



おお!
見ざる言わざる聞かざるの三猿です。
眠り猫と並ぶ日光屈指の有名人(?)。
こんなところにいらっしゃったんですね。
なんでも猿は馬を守護するという言い伝えがあるため、馬小屋に猿が彫られているのだそうです。



とにかく想像以上の絢爛豪華さに目を見張るばかり。
徳川家が威信をかけて造立したことが実感できます。

そして奥社入口へ。
こちらにはかの有名な眠り猫があるということで、期待に胸を膨らませながら進んでみると…。

あれ?



ち、小さい!
予想以上の小ささに拍子抜け…。
こんなに小さくて可愛らしい猫が東照宮屈指の有名人(猫?)だなんて。
なんだかとても不思議な気分でした。

2010.8.22

輪王寺(栃木)・日光三所権現

十数年ぶりに日光へ行ってきました。
日光と言えば、日光東照宮、日光二荒山神社、日光山輪王寺の二社一寺が、日光の社寺として世界遺産に選ばれた、日本有数の観光地です。
実は過去2回日光へ行ったことがあるものの、東照宮を含めた日光の社寺を参拝したことがありませんでした。

日本人として一度は参拝してみたい!
ということで、青春18切符を使って行ってきました



夏休み中ということもあり、境内は参拝者でいっぱいでした。
照りつける太陽と人の熱気でクラクラしそう…。



まずは輪王寺へ。
輪王寺の創建は東照宮よりはるかに古く、奈良時代にまで遡ると伝えられています。



三仏堂と呼ばれる本堂には、巨大な三体の本尊がいらっしゃいました。
向かって右から千手観音、阿弥陀如来、馬頭観音の三尊で、他ではほとんど見られない、とても珍しい組み合わせです。
これは神仏習合の信仰があった時代に、それぞれが男体山、女峰山、太郎山の神と一体であると考えられていたからなのだそう。

特に馬頭観音は、これほどまでに大きな像にはお会いしたことが無く、その迫力に圧倒され、しばし立ち尽くしていました。
まさに山そのもののような威厳を備えた観音様でした。

昔の人々は、自然のあちこちに神様や仏様を感じていたんでしょうね。

2010.8.22

長谷寺(神奈川)・四万六千日詣

8月10日、鎌倉市にある長谷寺でも四万六千日詣が行われました。



小雨が降るなか、暗闇に浮かぶ大きな提灯の灯りを見つめ、早朝4時の開門をじっと待ちます。
やがて門が開けられると同時に、参拝者が境内へゆるゆると流れ込んでゆきました。



中心にある観音堂には、本尊の十一面観音が祀られています。
観音様の写真はこちら
像高9.18メートル。
有名な奈良の長谷寺の観音様と同じく、錫杖と水瓶とを持つ長谷寺式観音で、室町時代の作と推定されています。
黄金に輝く観音様の前で読経の声を聞いていると、とても厳かな気分になりました。
夜の観音様は実に神秘的に見えます。

そのまま境内で待つことしばし…。
日の出の時間になりました。



山際から日の光が少しずつ差し込んでゆきます。
ふっと気持ちが晴れてゆくようです。

夜の闇から明るい光の中へ。
毎日繰り返されることなのに、それがとても感動的な光景に感じられました。

2010.8.10

覚園寺(神奈川)・四万六千日詣

先日、鎌倉市へ四万六千日詣に行ってきました。
四万六千日詣とは、日本のお寺における大切な縁日のことで、この日に参詣すると四万六千日参詣したほどの功徳があるとされる、とても有り難い日です。
8月10日、鎌倉市内のいくつかのお寺でこの四万六千日詣が行われ、私は覚園寺、杉本寺、長谷寺を参拝してきました。



まずは覚園寺。
深夜の12時少し前にお寺へ着くと、すでに沢山の参拝者で長蛇の列ができていました。



山門が開くと、境内へ参拝客がゆっくりと流れてゆきます。
まずは黒地蔵と呼ばれる地蔵堂のご本尊にお参りです。
像高170.5cm、鎌倉時代の作。
護摩の煙で燻されたのでしょうか、その名の通り真っ黒なお姿をなさっており、男性的な力強さを感じさせるお地蔵様でした。

さらに奥へ進むと、百八やぐらが見えてきました。
やぐらとは、鎌倉特有の洞窟墳墓のことで、その数は鎌倉全体で数千にも及ぶと言われています。
覚園寺の百八やぐらでは、岸壁をくり抜いた穴に石仏が安置されていました。
目の前でゆらめく沢山の蝋燭の炎。
岸壁に鳴り響く読経の声に包まれていると、とても神秘的な気分になりました。

最後に薬師堂へ。
こちらには覚園寺の本尊である薬師如来が安置されています。
お堂の中に足を踏み入れてみると、正面に息を呑むほど見事な薬師如来、月光・日光菩薩がいらっしゃるのが見えました。
そしてその周囲を凛々しい十二神将が取り囲んでいます。

本尊の薬師如来は像高181cm、日光・月光菩薩は150cmほど。
宋風の装飾的な作風で、いずれも室町時代の作とされています。
十二神将は一体一体が個性に富み、そのどれもが気迫に満ちていました。
これらの尊像は、室町時代に朝祐という仏師によって造られたのだそうです。
圧倒的な存在感の尊像が並ぶお堂にいると、自分が別次元の空間に立っているような錯覚さえ起こってきました。



深夜の境内では、暗闇に浮かぶ明りが非常に美しく見えます。
まるで夢の中をふわふわ歩いているようでした。



2010.8.10

光触寺(神奈川)・頬焼阿弥陀

鎌倉市にある光触寺には、不思議な阿弥陀如来が祀られています。
その名も頬焼阿弥陀。



昔、ある法師が無実の罪をきせられ、頬に焼印を押されました。
ところが法師には傷一つ残らず、かわりに阿弥陀如来の頬に火傷の跡がついていたというのです。
その身代わりになったとされる阿弥陀様こそ、光触寺の阿弥陀如来像。
なんとも優しい伝説ですね。



本堂へ入ってみると…(※拝観は団体のみです)。

中央には1mほどの阿弥陀如来、その隣に観音・勢至菩薩が祀られていました。
いずれも鎌倉時代の作で重要文化財。
阿弥陀様は全体的にバランスがよく、とても整ったお顔立ちの美仏です。
頬が焼けているのはハッキリとはわかりませんでしたが、大切なのは、そう何百年も伝えられていることなのだと思います。



また境内には塩嘗地蔵と呼ばれるお地蔵様がいらっしゃいます。
塩売商人が鎌倉へ出る際、このお地蔵様に塩を備えたところ、帰りにはいつも塩が無くなっていた…。
そう云い伝えられている、不思議なお地蔵さまです。

2010.8.1

鎌倉国宝館「仏像入門展〜ミホトケをヒモトケ!〜」

鎌倉国宝館で行われている仏像入門展〜ミホトケをヒモトケ!〜に行ってきました。



まさかのダジャレですが、展示内容はなかなかの充実ぶりでした。
夏休みということもあり、仏像について子供向けにわかりやすく説明がなされていて、幅広い世代が楽しめる特別展だと思います。

特に印象的だったのが、歓喜天像。
歓喜天とは象頭人身の神で、通常は秘仏であることが圧倒的です。
過去には高幡不動の宝物館で展示されている歓喜天しか拝したことしかありませんでしたが、こちらは破損が激しく、残念に思っていました。
今回展示されていた歓喜天は、南北朝時代の作と比較的新しいものの、保存状態が極めてよいものでした。

他にも非常に大きな懸仏など、普段あまり目にすることがないような仏像も展示されており、非常にバランスのとれた内容になっていました。



2010.8.1

杉本寺(神奈川)・三体の十一面観音

鎌倉市の杉本寺は鎌倉最古の寺とされている古刹で、坂東三十三観音の第一番札所としても名を馳せています。



山門をくぐると目に飛び込んでくるのは、苔むした階段。
すごい貫禄…。
まるで緑の絨毯が敷かれているようです。
現在は立入禁止となっています。



本堂には三体の十一面観音が祀られています。
手持ちの資料によれば、中尊と右側の像が鎌倉時代の作、もう一体はそれよりもかなり後の時代の作だということです。
遠くてよく見えませんでしたが、三体並んでいる様子はとても神秘的でした。

お堂の周りには白い旗が並んでおり、独特の雰囲気が漂っていました。
今も多くの人々に信仰されていることが伝わってきますね。

2010.8.1

東慶寺(神奈川)・水月観音

数年ぶりに鎌倉へ行ってきました。
千葉に住む私にとっては、鎌倉は近くて遠い場所。
新幹線や飛行機で行く京都や奈良であれば、チケットを取った時点で覚悟が決まるのですが、いつでも行ける鎌倉は、かえって足が遠のいてしまいます。
今回は意を決し早起きして行ってきました。



お目当てのひとつが、東慶寺の水月観音。
数年前に鎌倉国宝館でその美しさに惹かれて以来、ぜひともお堂でお会いしたかった仏さまです。



東慶寺は北鎌倉駅から歩いて5分ほど。
水月観音は本堂ではなく、その隣の水月堂に安置されています。



緊張しながらお堂へ足を踏み入れてみると…。
丸くくりぬいた窓の中から水月観音様のお姿が見えました。
お寺のHPはコチラ
像高34cmで鎌倉時代の作。
厚い衣の襞が美しく、繊細なお顔や体つきが際立っています。
博物館で拝した時も感動しましたが、やはりお堂での美しさは格別です。
優美にたたずむお姿は、まさに水面に映る月を眺めていらっしゃるようでした。

2010.8.1