大山阿夫利神社(神奈川)・大山ライトアップ(1)



伊勢原市にある大山は、古くから山岳信仰の対象とされてきた霊山。
山頂には大山阿夫利神社、中腹には大山寺が建っています。
この大山で11月に開催されたライトアップ拝観へ行ってきました。



参道の階段を登ってゆきます。
階段脇には土産屋が並んでおり、参拝客で賑わっていました。

おや、クイズが。

「大山山頂の標高は?」


「こたえ 1252m」

などなどクイズがいくつか階段に貼られており、結構楽しめました。

さて参道を少し離れて、茶湯寺へ。



お堂の中ではお釈迦様が寝ていらっしゃいました。



参道に戻り、ここからはケーブルカーに乗って山頂を目指します。



阿夫利神社が見えてきました。



大山阿夫利神社。
平安時代の延喜式神名帳に名を連ねているという、古い歴史を持つ神社です。
中世以降に修験道の霊場として栄え、多くの武士からの崇敬を受けてきました。
明治時代に廃仏毀釈が行われるまで、同じ大山の中腹に位置する大山寺は、この阿夫利神社の神宮寺であったといいます。

狛犬です。

なんだか妙に前足が太いような…?

山頂からは伊勢原の市街地が一望できます。



紅葉の赤と街の灯りが薄暗闇に浮かびあがり、幻想的な美しさを醸し出していました。

さあ、次は大山寺です。

2010.11.21
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知恩院三門(京都)・壮麗な極彩色世界

西方寺の後に参拝した大連寺で、年配の男性から声をかけられました。
「あなた、朝からずっと特別公開のお寺を巡ってるでしょ。一生懸命ノートにメモを取ってたから覚えてるよ」

ボランティアスタッフの方に質問をしながら必死でメモを取る私は、周囲から見ると結構浮いていたようです(笑)。
するとその男性が、
「知恩院三門には行ったことある?僕はあそこには何回も行ってるけど、本当に凄いよ。時間があるようなら行ってみたら?」
とアドバイスをしてくださいました。

三門…?
門の中に入って何か楽しいのだろうか??
正直、そう思ってしまった私。

でも大連寺から場所が近く、比較的時間に余裕もあったので、行ってみることにしました。



見えてきました、知恩院三門。

門と呼ぶにはあまりにも大きく、まるで巨大なお堂のようです。
徳川二代将軍秀忠によって建立された我が国最大の二階二重門で、国宝に指定されています。

特別拝観では、この門の二階内部に入れるとのことでした。



ロープを握りながら、急な階段を上ってゆきます。
特に意識せず二階部分に足を踏み入れた瞬間、思わず鳥肌が立つのを感じました。

そこに待ちうけていたのは、薄暗がりの中に広がる壮麗な極彩色の世界だったのです。



天井や壁には狩野派の絵がびっしりと描かれ、わずかな明かりを受けて妖しげに浮かび上がっていました。
美しい花々が色とりどりに咲き、天人や迦陵頻伽(極楽浄土にいるという想像上の鳥)が舞う、幻想的な光景。

中央には釈迦如来像が安置され、そのまわりを十六羅漢像がずらりと取り囲んでいます。
そしてその十六羅漢の人間味溢れる表情といったら…!
それぞれの羅漢は実際の人間よりも少し大きいくらいでしょうか。
歯を剥きだしていたり、ユーモラスな表情をしていたり、とにかくどの羅漢もとても生き生きとしているのです。

思わずその場に座り込みました。
摩訶不思議な極彩色の絵に囲まれ、頭の中がぐるぐると渦巻くようです。

なぜ誰も踏み入れることのない門の上に、かくまで壮麗な空間を造り上げたのだろう?
この幻想的な世界に圧倒されながら、そんなことを考えていました。



2010.11.3

西方寺(京都)・三千仏光背



京都市左京区にある西方寺のご本尊は、平安時代の阿弥陀如来像。

数年前に写真を見て以来、ずっと憧れていた仏様です。
今回の京都非公開文化財特別公開の中でも、特にお会いするのを楽しみしていました。



お堂に入るやいなや、金色に輝く見事な光背が目に飛び込んできました。
小さな化仏で円い光背がびっしりとおおわれています。
このように多くの化仏を有する光背を「千仏光背」といい、特に多くの化仏を有する本像は「三千仏光背」と呼ばれています。
(もちろん「三千」というのは、非常に多いという意味であり、実数を表すものではありません)

その煌びやかな光背の前にいらっしゃるのは、実に堂々とした阿弥陀様。
木造寄木造で236cm。いわゆる丈六仏です。
四角いお顔は力強い表情で、生き生きとしています。
衣文も明確な線で彫られており、優美な定朝様式とは異なった、凛とした厳しさのようなものも感じました。



この日参拝したどのお寺でも、若い学生の方がいらっしゃっていて、お寺や仏像について詳しく説明をしてくださいました。
聞くと皆さん京都市内の大学生で、文化財や旅行のサークルに所属なさっているとのこと。
この特別公開ではボランティアとして参加してくださっているそうです。
色々質問しても親切に対応してくださり、とても感激しました。

2010.11.3

因幡薬師(京都)・空を飛ぶ薬師如来

因幡薬師と呼ばれて親しまれている平等寺(京都市下京区)の本尊・薬師如来には、次のような不思議な言い伝えが残されています。

天徳三(959)年、橘行平という貴族が因幡の任地から帰京する途中、病に倒れてしまいました。

行平が必死で神仏に祈願すると夢枕に異形の僧が立ち、次のように告げたのです。
「因幡の国の賀留津の海に浮木がある。これを引き上げて供養せよ」

早速浮木を引き上げてみたところ、それは薬師如来の尊像でした。
信心を凝らして供養するとたちまち病が癒えたので、その地にお堂を造り、像を安置しました。

帰京した後にも夢のお告げがあり、呼ぶ声に門を開けたところ、そこに薬師如来の尊像が立っていました。
そう、薬師様は行平を追って因幡から空を飛んできていたのでした…。


空を飛ぶ薬師様。

一体どのようなお姿なのだろう?
今秋の京都非公開文化財特別公開にその因幡薬師が含まれていることを知り、迷わず行ってみることに。



お寺の周りには赤い旗がたくさん並んでいます。
この時点でドキドキ・ワクワク。
早くお会いしたくて、知らず知らずのうちにどんどん足早になってゆきます。



薬師様は本堂手前の収蔵庫にいらっしゃいました。
中はたくさんの人であふれており、その間から厨子を覗き込んで見ると…。

 

いらっしゃいました。
因幡薬師様です。

薬師様は空を飛ぶ時、華麗にヒラヒラと舞うのかしら、そう想像していた私。
ところが目の前にいらっしゃたのは、ぷっくりとして非常に重厚感のある尊像だったのです。
もしこのお方が空を飛ぶとしたら、ブーン!と音を立てながら空を横切ってゆくような感じがします。

体の後ろに木の節が残されていること、体の幅に対して厚みがないことなどから、流木で造られた可能性があるそうです。

ひょっとして不思議な言い伝えは本当…?
そんな気持ちにもさせてくれます。
 
そして何故かこの薬師様の頭には小さな赤い座布団のようなものが置かれていました。
疑問に思い、理由を伺ってみることに。

この尊像の入っている厨子の裏側にはローラーのようなものが付いていて、火事や天災の際に転がして運ぶことができるようになっているそうです。
そして頭の上の座布団は、移動の際に頭をぶつけて像が傷つくのを防ぐため、クッション材として乗せているとのことでした。

災害からお守るするために乗せた座布団が、薬師様のお姿をより一層印象付けているだなんて、とても面白いですよね。
不思議で可愛らしい座布団には、何百年もの温かい信仰心が隠されていたのです。

2010.11.3

上徳寺(京都)・バーチャル浄土体験

5泊6日見仏旅行のスタートは京都。
京都非公開文化財の特別公開に行ってきました。
ずっと憧れだった秘仏も含まれており、とても楽しみにしていた公開です。



まず最初に京都市下京区にある上徳寺を参拝しました。
1603年に徳川家康が建立した古刹です。

こちらのご本尊は、鎌倉時代の著名な仏師・快慶が造ったと伝えられている阿弥陀如来像。



お堂に入るなり、厨子の美しさに目を見張りました。
中央には阿弥陀如来、その横に観音・勢至菩薩がお祀りされています。
その華やかさは、あたかもここへ阿弥陀如来が両菩薩を連れて来迎しているかのよう…。
まさにバーチャル浄土です。



阿弥陀様はふくよかで上品なお顔立ちをなさっており、流麗な衣をたっぷりとまとっていらっしゃいます。
そして特徴的なのが手の印相です。
人差し指と親指で印を結んでいますが、左右の手の上げ下げが通常の阿弥陀如来と逆になっています。

同じような表現に、兵庫県・浄土寺の阿弥陀如来像があったことを思い出しました。
こちらが中指と親指で印を結んでいるという点以外は、よく似た形です(マニアックな話ですみません)。
浄土寺の阿弥陀如来像も快慶の作だとされています。

家に帰ってから調べたところ、このような印の結び方は、宋・元仏画などに見られる形だそうです。
こういう細かいところに時代性や仏師の個性が出るのかもしれませんね。



上徳寺はとても雰囲気の良い素敵なお寺でした。
お土産にお茶までいただいて、本当に感激
是非また参拝したいお寺になりました。

2010.11.3

正倉院展(奈良国立博物館)

5泊6日の関西旅行。
まずは正倉院展について書きたいと思います。

毎年秋に奈良国立博物館で開催されている正倉院展。
長年のファンも多く、行列必至の特別展だと聞いていました。
今年は有名な螺鈿紫檀五絃琵琶が19年ぶりに展示されるということで、初めて行ってみることに。

11月7日、海住山寺からレンタカーで奈良市内へ向かいました。
ナビの案内では到着予定時刻が17:00過ぎということで安心していたのですが…。

奈良市街地では壮絶な道の渋滞が繰り広げられていました。
そう、この日は平城京1300年記念イベントの最終日だったのです。
道には果てしないほどの車・車・車…。 
こんなに大渋滞の奈良は初めて見ました。



ほぼ意識が朦朧としながら、やっと奈良博へ辿りついたのは18:00前。
(この日は特別展会期中ということで、閉館時間は通常よりも遅い19:00でした)
駆け足で正倉院展へ入りました。
お目当ての螺鈿紫檀五絃琵琶は…。

なんと30分待ちの大行列!
このまま待っていたら仏像館は完全にアウトです。
作戦変更。
一度出て、まずは仏像館へ。

数年ぶりに訪れた仏像コーナーはリニューアルされ、ガラリと印象が変わっていました。
素晴らしい仏像ばかりです。
一体一体じっくり拝見したいのに、いかんせん時間が無い。
泣く泣く足早に館内を歩いていると…。

ん???
ずっとお会いしたいと思っていた薬師寺の八幡三神坐像がー!



でも時間がなーい!
制限時間いっぱいまで仏像館で粘り、猛ダッシュで正倉院展へ。

お目当ての螺鈿紫檀五絃琵琶は行列がだいぶ短くなっていて、15分待ちくらいになっていました。
正直、実物を見るまでは「なんで琵琶に30分も待つのだろう?」と心のどこかで感じていた私。

実際目の当たりにしてみると、その美しさに思わず息を呑みました。



表面にはラクダに乗った大陸風の人物、裏側には一面まばゆいばかりに美しい螺鈿細工が施されています。
こんなに美しい楽器を見るのは生まれて初めてかもしれません。

奈良時代、はるか彼方にある大陸の風を運んで来たこの楽器に、古のロマンを感じたのでした。

2010.11.7

岩谷寺(茨城)・笠間六体仏の薬師如来

鎌倉地代に笠間一帯を治めていた笠間時朝は、文武両道の武将でした。
時朝は信心深く、京都三十三間堂の千体仏のうちの二体を寄進したことでも知られています。
その時朝が笠間の寺に寄進したのが、笠間六体仏と呼ばれる仏像群で、そのうちの三体が現在まで別々のお寺に伝えられています。



岩谷寺までは田んぼの間を歩いてゆきます。
きっと何百年も間、このような長閑な光景が続いているのでしょうね。



現在、仏像はこちらの収蔵庫に安置されています。



中にいらっしゃったのは二体の薬師様でした。

まずは笠間六体仏の一体である薬師如来立像。(県の文化財のHP)
像高185cm。1253年の作です。
衣文は写実的で、流れるような線を描いています。
均整のとれた涼やかなお顔、大粒の螺髪がとても印象的でした。

そしてその隣にはもう一体の薬師如来像が安置されていました。
こちらは坐像で、像高84.8cm。(県の文化財のHP)
平安末期から鎌倉時代初期の作と推定されており、衣文の彫りは浅く、お顔はとても穏やかです。

対照的な二体の薬師様。
普段は秘仏とされており、他の寺院の笠間六体仏と併せて、毎年4月8日のみ開帳されています。

いつの日か残りの仏様たちにもお会いしたいなあ…。

2010.9.19

祥光寺(茨城)・不思議な阿弥陀三尊

桜川市の祥光寺は、平安初期の高僧・徳一によって創建されたと伝わる古刹です。
後に夢想国師によって再建され、現在は臨済宗のお寺になっています。



こちらのご本尊は、県の文化財にも指定されている阿弥陀如来像で、平安時代の優美な仏様です。



像高87.3cm。
非常に垢ぬけた作風で、中央の仏師によって造られた可能性が高いと思われます。
そしてこの祥光寺で特に印象的なのが阿弥陀様の脇侍。

 

毘沙門天と不動明王です。

通常、阿弥陀如来の脇侍は観音菩薩と勢至菩薩。
祥光寺のような組み合わせのお寺は、他にほとんど見られません。
私個人としてはおそらく初めてです。

ひょっとしたら、それぞれの尊像は元々別のお堂にいらっしゃったのかもしれません。
果たしてどのような経緯でここで一緒に祀られるようになったのか…?
あれこれ想像を巡らせてみるのも楽しいですね。

2010.9.19

関西旅行に行ってきました!

11月3日から8日まで関西方面へ旅行に行ってきました。
怒濤の5泊6日!
職場の人からは「えっ?外国旅行に行ってるのかと思ってた」と言われてしまいました(笑)。

今回は京都・奈良・福井の3府県にわたる仏像巡りの旅です。
ただひたすら仏・仏・仏…。
素晴らしい仏像にたくさんお会いしてきました。

参拝したお寺は下記の通りです。
さすがに全部は無理ですが、特に印象の深かったお寺を中心に、ブログを書きたいと思います。
地道に更新しますので、よろしければお付き合いくださいね♪

*11月3日(京都市内)京都非公開文化財特別公開

上徳寺・平等寺・仏光寺・大行寺・西方寺・大蓮寺・知恩院三門・妙法院


*11月4日(舞鶴市近郊)

円隆寺・多禰寺・金剛院・松尾寺・中山寺・清雲寺


*11月5日(福井県小浜市)

羽賀寺・明通寺・円照寺・妙楽寺・多田寺・萬徳寺・神宮寺・国分寺・若狭歴史民俗資料館


*11月6日(京都郊外)

峰定寺・禅定寺・神童寺・大智寺・蟹満寺


*11月7日(奈良市内・郊外)

極楽寺・額安寺・富貴寺・光林寺・長岳寺・霊山寺・喜光寺・海住山寺・奈良国立博物館


*11月8日(奈良市内・吉野)

秋篠寺・西大寺・金峯山寺・大日寺・桜本坊・如意輪寺

関西旅行

明日から関西方面へ見仏旅行に行ってきます。
約1年ぶりに京都や奈良を訪れるので、とってもワクワク。
今回はどんな仏像にお会いできるのかしら…?

というわけで、旅行+αのために1〜2週間ほどブログをお休みします。
私の拙いブログをご覧になってくださっている皆様、本当にありがとうございます。
帰ってきたら地道に見仏記をアップしたいと思います。
では行ってきま〜す♪

東光院(千葉)・上総薬師霊場御開帳

今年は寅年ということで、上総薬師霊場二十八か所の総開帳が10月に行われました。
木更津市にある東光院でも、5月に行われた開帳に引き続き、今年2回目の開帳がありました。

房総育ちの私にとって、この東光院は思い入れのある場所。
子供の時に遠足で歩いてきた、とても懐かしいお寺です。
地元の人々からは「桜井の峯薬師」と呼ばれて篤い信仰を集めてきました。



今でも覚えているのは、小学校の先生がしてくれた次のようなお話です。

昔々このあたりに大きな桜の木がありました。
ところがある日その木が倒れてしまい、穴から水が湧き出たのです。

そこへ行基様という偉いお坊様が通りかかりました。
その村では目の病気が流行っていて困っている人がたくさんいたので、行基様がその湧き水を使って目を洗ってやると、病気はみるみるうちに良くなったのでした。

そして行基様は倒れた桜の木で仏像を刻んで、このお寺にお祀りしました。
その仏様はとても大切なので、普段は決して見ることが出来ません…


普段は見ることができない仏像。
秘仏という言葉自体はまだ知らないものの、そういう仏像があることを初めて知ったのが、その話を聞いた時であったように思います。

やがて月日が流れて××年…。
5月の御開帳に続き、再び東光院を参拝してきました。



境内には鮮やかな赤い旗が並んでおり、御開帳をお祝いしているかのようです。
本堂で大好きな薬師様と半年ぶりにお会いしました。



厨子の中から向けられる、鋭い眼差しに思わずドキリ。
両手には五色の紐が結びつけられています。

像高1.64mでカヤの寄木造。県の文化財に指定されています。
前回参拝した時よりも照明が明るく、お姿をはっきり拝することができました。



房総の美仏と称されるだけあって、涼しげなお顔だちです。

昔々、行基様が彫ったという伝承を持つ薬師様。
眼病治癒にご利益があるということで、古くから篤い信仰を集めてきました。

実際は鎌倉時代の作と推定されていますが、大切なのは、そう何百年も伝えられているということなのだと思います。



緑あふれる境内には温かな日差しが差し込んでいます。
子供の頃と風景は何ひとつ変わりません。

先生が話してくれた、薬師様にまつわる不思議なお話。
懐かしく思い出しながら境内を歩いていると、何だか優しい気持ちになれたような気がしました。

2010.10.10