南洲寺(鹿児島)・平安期の不動明王

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鹿児島のシンボルと言えば、やはり桜島でしょう。
標高1,117mであるこの火山島は、鹿児島湾にどっしりとそびえ立ち、その雄大かつ美しい山容で、仰ぎ見る者の心を魅了します。

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桜島は現在も活動を続ける活火山であるため、鹿児島市内の至る所に火山灰が降り積もっていました。

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こちらは鹿児島市街地に位置する南洲寺です。

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入口には石の仁王様がいらっしゃいました。
どこかユーモラスで可愛らしいですね。

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境内の隅に小さなお堂があり、中には凛々しいお不動様がいらっしゃいました。

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像高97cmで寄木造。藤原時代の作です。
もとは市内の別の不動堂に安置されていましたが、明治36(1903)年に頃に南洲寺へと移されました。
体躯は均整がとれており、非常に洗練された作風であることから、中央仏師の作と推定されているようです。
鹿児島は明治期の廃仏毀釈が特に激しかった地のため、これほど古い時代の仏像はほとんど現存していません。

旅の最後に素晴らしいお不動様にお会いでき、深い感動に浸りながら、帰路へとつきました。

2013.9.14
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岩堂観音(鹿児島)・秘境の阿弥陀三尊

今回の目的地を九州南部に決めた時、最も大変だったのは、参拝するお寺を探すことでした。
鹿児島県は明治期の廃仏毀釈がとりわけ激しかった地で、数多くの貴重な仏教美術が破壊されたり、散逸してしまったのです。
苦労して調べてゆくうちに偶然その存在を知ったのが、霧島市の岩堂観音。
人里遠く離れた山中にあるために廃仏毀釈の難を逃れたという、奇跡の仏教史跡です。

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熊本県内からレンタカーで南下し、霧島市へと入りました。
ところがカーナビが指し示すあたりを探しても、なかなか磨崖仏の場所がわかりません。
農作業をしている地元の方に道を伺い、なんとか近くまで行ったところ…

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その先にあったのは、車一台がやっと通れるくらいの細い細い道でした。
ここまで来たのだから引き返すわけにはいかない。
意を決して進むことにしました。

ところが思いのほか道は長く、なかなか磨崖仏まで辿り着きません。
もし対向車が来たらどうしよう。
不安で胸がいっぱいになりながらも、ハンドルを握り続けました。

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そして数キロほど走ったところで、急に道は開け、大きな赤い鳥居が建っていました。
車止めが置かれているため、ここからは歩いて先へと進みます。

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道はより一層細くなり、奥へ奥へと石段が続いていました。

「…きゃっ!」
前方から大きな声が聞こえてきて顔を上げたところ、たまたま参拝中だったご夫婦の奥さまが、とても驚いた表情で立っていらっしゃいました。
まさかこんな所に自分たち以外の参拝者がいるとは思わなかったのでしょう。
私も同感です。
車の運転中に道ですれ違わなくて本当に良かったとも思い、心の底から安堵しました。
さらに先へと進んでゆくと…

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荘厳な阿弥陀三尊が岸壁に浮かび上がっていたのでした。
周囲に鬱蒼と生い茂る木々の間からわずかな光が差し込み、三尊を優しく照らしています。
尊像は苔むして風化が進んでおり、長い年月の重みを実感させてくれました。

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赤水の岩堂磨崖仏は通称「岩堂観音」と呼ばれていますが、実際の中尊は阿弥陀如来で、その両脇に観音・勢至の両菩薩が彫られています。
像高はいずれも140cmほど。
建武2年(1334年)の銘が残されており、これは制作年代がはっきりしているものとしては、鹿児島県内で二番目に古い磨崖仏であるそうです。
平安末期から全国で流行した浄土思想を受けて彫られたと言われていますが、入口に鳥居が建てられていたことから、山岳信仰などの影響も考えられます。

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素朴で力強い御仏たちが、廃仏毀釈の困難をこうして乗り越えてこられたことに、深い感銘を受けずにはいられません。
静寂のなか、眼前に広がる厳かな光景に圧倒され、ただ呆然と立ち尽くすばかりでした。

2014.10.14

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願成寺(熊本)・鎌倉期の阿弥陀如来

湯前町からレンタカーで南下すること約40分。

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人吉市の願成寺を訪ねました。
鎌倉時代に相良家によって創建された、熊本県屈指の古刹です。

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相良家は古くから人吉地方を支配してきた名家で、鎌倉時代に当地の地頭に任ぜられた後に戦国大名へと成長し、江戸時代に入っても領主として君臨し続けました。
願成寺はその歴代相良家の菩提寺だったため、境内には数多くの貴重な文化財が残されています。
本尊の阿弥陀如来坐像は国指定の重要文化財の指定を受けており、事前にお願いをして拝観させていただきました。

願成寺 (⇒人吉市のHPに写真有)

像高108cmでヒノキの寄木造、鎌倉時代の作。
上品下生の印を結ぶ優美な阿弥陀様で、きめ細かい螺髪、流麗な衣文などに、仏師の並々ならぬ技量がよく発揮されています。
もとは別のお寺に安置されていましたが、江戸期に入ってから願成寺へと移されたそうです。

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参拝のあと境内を歩いていると、奥に古めかしい石段が続いているのが見えました。
上ったその先には…

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歴代相良家の墓所がありました。
なんと五輪塔の数は250基にも及ぶとのこと。
数百年もの間、この地で強い権力を握っていた名家の繁栄ぶりが伝わってくるようです。

2013.10.14

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城泉寺(熊本)・萱ぶき屋根の阿弥陀堂

少し前のことになりますが、昨年の10月に鹿児島・熊本旅行へ行ってきました。
これからしばらくの間、その時の参拝記を書こうと思います。

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まず最初に参拝したのは熊本県湯前町の城泉寺。
のどかな田園地帯の脇道を歩いてゆくと…

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萱ぶき屋根の阿弥陀堂が目の前に現れました。
まるで大きな帽子をかぶっているようで、とても可愛らしいですね。

鎌倉時代に建立されたお堂は、この地方を支配していた豪族が自らの極楽往生を願って建てたと伝えられており、熊本県内で最古の木造建築物として、国の重要文化財に指定されています。
元々お寺の名前は「城心寺」といいましたが、大正4年の仏像国宝指定の際に誤記されたことから「城泉寺」と呼ばれるようになったそうです。

拝観をお願いした時間より少し早く到着したものの、既に地元の方がお堂を開けて待ってくださっていました。

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中にいらっしゃったのは、鎌倉期の阿弥陀三尊です。

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中尊の阿弥陀様の像高は87.3cm、脇侍の両菩薩はそれぞれ105cmほど。
いずれも檜の寄木造です。
観音像の台座銘文から1229年に造像されたことが判明しました。
阿弥陀様の眼差しは凛として、体躯も引き締まり、鎌倉仏らしい力強さを感じます。
複雑に彫られた衣文、両菩薩の高い宝髻などに宋風絵画の強い影響が指摘されており、その作風から慶派仏師の作と推定されています。

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可愛らしいお堂に美しい仏様。
地元の方にお話を伺いながら、古の人々が思い描いた浄土の世界に浸っていました。

2013.10.14

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